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幼児のわたしが、大人たちを戸惑わせた話

「えー、いらないの? 本当に?」

大人たちが、口々にそう言ってきます。

あれは幼稚園に上がる前くらい。母と姉と3人で、同じ団地に住む若いご夫婦のおうちに、お呼ばれした日のことでした。

母と奥さんが居間でおしゃべりしている間、わたしは隣の部屋で一人で遊んでいました。しばらくすると、居間のほうで「わあ、メロン〜」と歓声が上がり「みこちゃんも、メロンだよ、食べにおいで〜」と呼ばれました。

でも、当時のわたしはメロンを見たことも、食べたこともなかったんです。だから、

「いらなーい」

と答えました。

そうしたら「え!?」と絶句され、場が静まりました。そして戸惑ったように「メロンだよ、ほら食べよ」と、何度も誘われる。どうやら、めったに食べられない珍しいものらしい、というのは、その勢いから伝わってきました。

でも、いらないものは、いらないんだもん。

せっかく楽しく遊んでいるのに、と何度誘われても断っていたら、だんだんしつこく感じてきて、最後は「いらない!」と怒ってしまいました。それで最終的に「いらないの? 本当に? もらっちゃうよ?」と念を押されて、結局そのメロンは、姉か母が代わりにいただいたんだと思います。

この話、うちでは「みこの変わった子エピソード」として、いまだに何度も擦られます。

でも、わたしからすると、ただ興味がなかっただけ。掘り起こされなければ、記憶の底で溶けてなくなっていただろう出来事で。

何がそんなに面白いのよ?と思うのです。

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