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就職未遂に終わった、整体師みこの話

わたしには、”就職未遂”に終わった職業がいくつかあります。

そのうちの一つが、整体でした。資格まで取ったのに、開業間際で撤退。

なんで取ったのか。なんでやめたのか。ちょっと珍しいかもしれないので、順番に書いてみます。

そもそもの始まりは、肩こりでした。

うちは凝り体質の家系で、家族みんな、整体に通っていたんです。わたしも仕事で一日中パソコンに向かっているので、肩こりがけっこうひどく、母と同じ整体師さんのところに、通うようになりました。当時は母も姉も、こぞってお世話になっていて、家族ぐるみで長いお付き合いでした。

そんなある日、その整体師さんに言われたんです。

「あなたが出来るようになれば、みんなにしてあげられるでしょう。資格、取ったらどう?」

あー、確かにそうだろうけど、うーん…。正直なところ、わたし自身が凝るタイプなので、人を整えるより、整えてもらいたいというのが、その時の素直な気持ちでした。だから最初は「自分が凝り性なので…」と、やんわり濁していました。

でも、会うたびに毎回勧められるんです。わたしにも、姉にも、母にも。

その方は、良かれと思って言ってくれていました。それに、言い出したら引っ込めない熱心な方だというのも、分かっていました。これはもう、わたしが覚悟を決めないと、家族みんなに影響する話になってる。そう思って、観念して、資格を取ることにしました。

で、取ったら取ったで、今度は使わないともったいない気になるんですよね。

せっかく時間もお金もかけたんだから、これで開業できないかな、と。わたしはもともとアロマトリートメントを受けるのも好きで、あちこち通っていたので、「せっかくやるなら、こういう空間にしたい」という理想もありました。アロマの資格も習いに行って、外で部屋を借りる話が、営利目的はだめということで自宅に変わって、開業は間際まで進みました。

家族や親戚や友人を相手に、練習もさせてもらいました。

そこで、気づいてしまったんです。

プライベートな空間が見えないように片づけて、掃除して、雰囲気や備品を整えて、お客さんが来るまで落ち着かない気持ちで待つ。これが、自分にとって窮屈で、強烈に疲れることに。

さらに、わたしは元々、人見知りで対人が苦手です。お客さんと1対1の空間で、主催者側としておもてなしをするなんて、よく考えたら無理な話でした。知らない人がひんぱんに家に入ってくるのも、正直、怖い。

そこまで考えて、急に我に返りました。

——わたし、何でこんな苦手だらけのことをしようとしてるんだろう。

整体師みこがお蔵入りになった瞬間でした。

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