「絶対後悔するよ」
化粧品をやめてみようかな、と言ったら、母にそう言われました。実際にやめている最中にも、何度か。
20代のころの話です。食と体のことに関心があった流れで、「脱ケミカル」というものを知りました。化粧品を使わないほうが肌がきれいになる、という話もあって、そうなら嬉しいなあと思って。
わたしはもともと、何でも素の状態が良いのが好きです。肌で言えば、何もつけなくても強くて潤っているのが理想でした。
それに、身近に興味深い肌の人たちがいました。
ひとりは母です。母の肌は、抜けるように白くて、薄くて繊細な感じです。もともと色白なのを、時間とお金を惜しみなくかけて、その輝きを保っています。ただ、ちょっとしたことでバランスを崩すので、気を抜けない感じです。
それから、化粧をしないのに肌がきれいな方が、周りにふたりいました。こちらは自然な白さで、自然な厚みの肌です。
母もふたりの方も、どっちもきれいなんです。でも、受ける印象というか、きれいの種類が違う感じ。もしわたしがなれるなら、手間ひまをかけなくてもきれいな後者がいいなあ、と思いました。
もうひとつ、きっかけになったのが、当時使っていたオールインワンジェルの会報誌の記事です。「このジェルをつけた肌と、つけていない肌では、〇時間後にこんなに差が出ます」という実験でした。対象者はどちらもそこの化粧品のユーザーです。それを見て、わたしは逆に、つけ続けなきゃ潤わないってこと?と思ってしまったんです。
それで、一回ぜんぶやめてみました。
最初のうちは、やっぱり乾燥したんですが、だんだん落ち着いてきて、そのうち何ともなくなりました。
で、結果はというと、劇的な変化はなし。綺麗にもならなかったし、悪くもならなかった。もともと肌に困りごとがなかったから、というのもあると思います。
そのあとも、馬油だけとか、オイルだけとか、手作りの化粧品とか。いろいろ試してみましたが、どれもこれといった変化はありませんでした。
馬油だけつけていた頃、フェイシャルマッサージに行って、普段の手入れ方法を聞かれたので、正直に話したことがあります。そうしたら、言われなければ気づかなかった、肌の状態も全然問題ないですよ、と言われました。それを聞いたとき、
化粧品って、何なんだろう。
と、ほんのり疑問になりました。
わたしの肌には、母のような白さや繊細さはありません。でも、ちょっとくらい徹夜が続いても、何か刺激を受けても、全然どうってことないです。(or全然へっちゃらです)
今は、化粧品を一部戻しています。いろいろ試しているうちに、本当に好きで使いたいと思えるメーカーに出会ったからです。化粧水は手作りで、美容液とクリームはそこのもの。とはいえ、毎日つけても、さぼっても、やっぱり何も変化はないんですけどね。
そういえば、どこかのブログで、こんな考え方を読みました。
高価なものや効果の強そうなものを毎日つけ続けるより、普段のお手入れはなるべくシンプルに。多少のことでは揺らがない肌を基本にして、そういう化粧品は年に何度か、肌を磨くスペシャルケアのときに使う。
その考え方、好きだなと思いました。今はそれに近い感じで、普段はシンプルに、たまに強そうなものを取り入れてみたりしています。
で、化粧品をやめてみて後悔したか、ですが。
全然してないです。
ただ、使い続けた未来とやめた未来、両方を経験することはできないので。自分にとって本当はどっちが良かったのかは、わたしにも分かりません。もしも、ずっと同じ手入れを続続けていたら、今ごろどんな肌になっていたのかな。

